欧米と日本のプレゼンテーションスタイルの違い
欧米と日本のプレゼンテーションのスタイルはかなりの違いがあります。アメリカは、説明する要点を箇条書きにしたものを、一つひとつ説明していきます。日本でもそういう方法を採り入れていますが、全体的には欧米方式の要点を、一々、ブレークダウンして説明文を書いていきます。
そのため、欧米のプレゼンテーション資料は多くても15ページから20ページ程度で終わりますが、日本のプレゼンテーション資料は、場合によっては100ページをはるかに超える場合があります。
見やすいプレゼンテーションというと、パワーポイントでデザインや色使い、指定するフォント、テキストの配置・種類、強調すべき点などを採り上げ、一方で伝わるプレゼンテーションというと、文字が見やすい、適度なスピードの話し方、情報量が多くも少なくもない、言葉遣いが平易、ユーモアやエピソードが散りばめられている、自分の言葉になっている、などが挙げられ、それに写真やデータ、必要な場合には動画などで分かり易く伝えることも考えられます。
プレゼンテーション資料の眼目は共通認識の確認のためのもの
よく聞く話として、某企業の社長さんにプレゼンする場合は、A4用紙一枚にまとめ、時間も15分で説明せよという話よく聞きますが、これは、受けても送り手も、当該マーケットの状況やテーマもはっきりしているという前提で行われているので、余分な情報はいりません。
それに、GOになった後のフォローが付いて回るので、そのようなやり方があっても不思議ではありません。
そのことは別として、ここでいう共通認識は課題に対するものです。課題の送り手が、例えばオリエンテーションという形でプレゼンテーションを依頼した場合、ベースになるのはオリエンテーションの内容です。これを受けてプレゼンチームは作業を開始します。
提案を依頼したほうは、オリエンテーションの中身を聞いて、彼らがどんなプレゼンテーションをしてくるのか、楽しみにしています。特に、競合プレゼンテーションの場合は、それの期待度がより一層膨らみます。
見やすい・伝わるプレゼン資料は想像力の具現化がポイント
ここでいう期待度は、オリエンテーションの内容にイメージを膨らませる想像力が、どのように盛られているのか。そして、その内容の具現性はどうなのか、ということで共通認識を確認しつつ、その上を行く提案があるかどうかを見ます。つまり、クライアント側が知りたいような内容になっているかどうかが、プレゼンテーション資料を見た際、印象付けられるかがポイントになります。
特に、説明を受ける前に配布された企画書をパラパラと捲ったとき、目の中に飛び込んできたコンセプトや具体案のワーデイング一部が、頭の中にポジショニングされるかどうかは非常に大きなインパクトになります。
もちろん、ここでの想像力も共通認識の上でのものでなければなりません。中には、相手の知りたいことよりも、独りよがりの突拍子もない提案を見ることがありますが、論文ではないので、十分注意を要します。(保険)
どんなに視覚的に工夫を凝らした、見やすい、伝わりやすいプレゼンテーション資料を作っても、中身がそうでなければ何の意味があるのでしょうか。
見やすい・伝わるプレゼン資料はコンセプチャルな視点に立っているか?
さあ、そこで見やすい・伝わるプレゼンテーション資料ですが、どう考えればいいのでしょうか。
第一に、受けたプレゼンテーションに参加していない第三者に、自分が同じようにプレゼンテーションが出来るかどうかかカギになります。
もちろん、想像力と実現性があってのことですが、自分がプレゼンテーターになった際、その想像力と実現性を提案できるか、そこに一つの判断が生まれます。
そしてそこにはコンセプチャルな視点があるかどうかです。ポイントがしっかり定まっていれば、そこをベースに展開を進めればいいわけで、プレゼンテーションに参加していない人にも、共通認識からの結論を伝えられます。
見やすい・伝わるプレゼン資料の企画の眼目
オリエンテーションを受けて、企画を精査しプレゼンテーションする場合に、分かり易いプレゼンテーションには、マーケティングのセオリーである、5W3Hをベースに考える必要があります。
特に、実施プランには、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How many(どのくらい)、How mach(いくら)の8つの要素を、それぞれのプランに当てはめて、しっかりと書き込みます。
見やすい・伝わるプレゼン資料は見た目が美しい
普通、プレゼンテーション資料の作成というとパワーポイントを使いますが、その作り方は前述したように多くのサイトで紹介しています。
したがって、最後にその点について少しだけ触れておくことにいたします。
だいぶ前のことになりますが、瀬戸朝香のCMで「見た目で選んで何が悪いの」というのがありましたが、プレゼンテーション資料にもこれが当てはまります。
プランアップしたものをプレゼンテーション資料に落とし込んだところで、見た目が悪いと折角のプランが色褪せてしまうことになり兼ねません。
見た目が美しいとは、プレゼンテーションを受けるほうの印象度に関係があります。つまり、プレゼンテーション資料が手元に配布された際、何気ない調子でパラパラと中を捲った時の印象が、うん、これはと思うか。うん何だ、これはと思うかによって中身のプランの良し悪しが判断される場合があります。それだけに、プレゼンテーション資料の作成には神経を使う必要があります。
冒頭に共通認識の問題を採り上げましたが、まさに、これからスタートしています。
プランニングの基本は、オリエンテーションの確認から始まります。つまり、提案を求める側からの依頼案件を整理します。次に、当然ことですが、依頼案件の根拠となる現状分析を抽出し、その上で、問題点と課題を洗い出します。そして、それを解決するための方向性を導き出し、具体的な企画提案に持ち込みます。さらに、それを遂行した結果から次のステップへの発展形を打ち出します。
見やすい・伝わるプレゼンテーション資料のポイントとコツは、企画書のスタイルだけに囚われるのではなく、実は、想像力と実現性がどれだけプランニングされていて、それがヴィジュアル的にどう表現されているかにかかっています。