心配性って、なんなのでしょうか?
心配性の人にとって、人前や会議の場は何とも居心地の悪いところで、発表したり、プレゼンしたりするとしたら、それこそ心臓が早鐘を打ち、唇は渇き、掌は汗ばんで、うまくできるのかと心配になるのが手に取るようにわかりますね。
それが正常な反応と思いつつも、毎度毎度そんな場面にたつと、決まって同じような目にあってしまいます。
そこで、心配性を冷静に考えてみると、要は不安を覚えることと、緊張しやすいという言葉に置き換えることができます。心配性=不安、緊張しやすい、そう置き換えてみると、心配性を克服するということは、不安、緊張しやすいことを克服すると同義になります。そして、心配性と上手に付き合う方法とは、不安、緊張しやすい性分と上手に付き合う方法と置き換えが出来ます。
心配性の人の癖
一度経験をすると、普通でしたら勇気が出てきて、2度目を迎えた場合には、少し心配性が後退するはずなのですが、心配性の人の場合はそうはいかないから不思議なのです。一度目の成功、あるいは失敗体験よりも、心配性―不安を覚え、緊張するあの体験を味わうのが、いやで嫌で仕方がなくなるのです。
そして、心配性を他人に見せないようにするために、いろいろな動きや癖をすることで、オブラートに包みこむのです。例えば、無口になったり、咳払いをしたり、唇をかんだり、震えたり、無意味な微笑みを繰り返したり、落ち着きをなくしたりします。それ以外にもあるでしょうが、往々にして、このような動きを無意識のうちにしています。
しかしながら、このような動きをすることはある意味正常な反応なのですが、心配性の人は、なかなかそうは思わないで、一人悶々として内向することが多く見られます。
心配性の克服と予期不安
皆さんは、予期不安という言葉を聞いたことがありますか?この言葉を医学的に使用する場合は、昔でしたら心臓神経症、不安神経症、今でいうとパニック症候群で代表される疾患で、器質的な病変はありませんが、急に心臓が動悸を打ったり、心臓周辺に痛みを感じたり、冷や汗をかいたり、いつ発作が起きるかもしれないと不安感に苛まされ、酷い場合は外出もできなくなります。自律神経系の機能的な発作であっても、また起こるのでは不安に駆られるのを予期不安と言います。
心配性の人はことに当たって、この予期不安が鎌首を持ち上げます。つまり、失敗するかも知れないという、強迫観念が渦巻始めます。
例えば、発表する際に、まずはうまくやらなければならない、という思いが先に立つために、それに縛られることになります。やがて、それに囚われ、ますます膨らんでくると、失敗はできない。失敗したらどうしようと、不安感が徐々に湧いてきます。
こうなると悪循環に陥り、そして、先に記したような心臓が早鐘を打ち、唇は渇き、掌は汗ばんで、予期不安がピークに達します。
心配性の克服と悪循環の関係
さあ、そこで心配性を克服するために何が出来るかを考えてみましょう。第一に予期不安をなくすことが挙げられます。これの本質は心配しているのは本人だけの場合が多く、独り相撲を取っていることが指摘できます。つまり、自分一人が不安がっているだけで、それを解決するのは自分しかいないということを自覚しなければなりません。
第二の緊張感の克服も、不安感と同じですべて自分の問題なので、自分で解決するしかありません。といって、ポジティブ思考で解決できるかというと、そんな簡単なものではないのです。それで解決できるなら、「心配性を克服する方法、心配性と上手に付き合う方法」で悩むことはありません。
ここは、自分の問題として解決するしかありません。そこで、予期不安を克服するためには、まずは、予期不安そのものがなんであるかを理解しなければなりません。会議やプレゼンテーションの場で、一度でも失敗をしたことがある人は、また失敗するのではないかと心配になるのは当然のことです。そうすると、神経がそればっかりに集中するようになるので、ますます敏感になって悪循環に陥ります。その悪循環を断ち切ることが、心配性を克服する最短の道になるのです
心配性を克服するため
心配性を克服するためには、どうしたらいいのでしょか。
① 心配性を抱えている本人がこれぞと思う人を挙げて、その人から会議での発言やプレゼンテーションでの説明について、どのような態度、準備状況で臨んでいるかを話してもらい、本人のモチベーションアップと自信をつけさせ、態度を変えることで抱えている心配性を克服させようとするものです。
② 自信をつけさせるために改めて再教育をします。つまり、プレゼンテーションであれば、オリエンテーションから現状分析、問題点と課題の整理、そして企画の実施プランなど最終のストーリーをしっかり認識させ、リハーサルを繰り返し行い、完全に自分のものになるようにします。これができれば、プレゼンテーションの心配よりも、その後の成果のほうが心配になるはずです。
③ 本人が何を心配しているのかを具体的に聞き出してあげます。不安、緊張、恥辱などが絡み合っているはずなので、それを丁寧に聞いてあげます。言葉にして打ち明けることで、気分的にも楽になるだろうし、緊張の度合いも軽くなっていくに違いありません。
④ 自己暗示をかける方法です。自己暗示は不安の除去や緊張をリダクションする際によく使われます。まさに心配性にはうってつけの方法と言えます。暗示はかかりやすい人もいれば、かかりにくい人もいます。
自己暗示は絶えず繰り返し行います。繰り返していると、次第にそう思うようになり、そのうちにそのことが信じられるようになってきます。
精神療法の一種ですが、自律訓練法や、想像力を利用するイメージ法、瞑想法などいくつかの方法がありますので、それを使って、心配性を克服いたします。
想像力を利用するイメージ法
不安除去やストレスリダクションに、よく使われるのが自律訓練法ですが、ここではそれを延長した、想像力を利用するイメージ法を解説いたします。
イメージ法は自分の心の中に、あるイメージを思い浮かべ、それを自分にマッチングした暗示として受け取り、心理的にも生理的にもベスト、ベターな方向に転換させるものです。
心に思い浮かべたイメージは、緊張感を取り除くリラックスした状況を作り出し、心配性の克服に役に立つと同時に、生理的な影響を及ぼすことから、健康面にも好影響を与えます。
イメージ法では、まずリラックスした状態で心配性を克服したいと強く望みます。そして、イメージは肯定的なものにします。例えば、「心配性にならない」ではなく、「うまくプレゼンテーションが出来る」のような言葉を選びます。
そして、溌剌とした態度で大勢の人を前にプレゼンテーションしている姿を思い浮かべます。緊張がとれた姿をイメージします。その状態を身体にインプットできれば、アウトプットは「心配性になりやすい自分」にイメージがやがて消えて行きます。
具体的には呼吸を整え、自律訓練法で暗示をかけて行きます。そして飽くまでも肯定的なイメージを思い浮かべ、リラックスした状態でそれを感じます。
心配事や不安、緊張は誰もが感じることです、しかしながら、それを克服するのか、あるいは上手に付き合っていくのかを決めるのはあなたです。しっかり準備をし、イメージを作り終えたら、後はあるがままに、そして囚われることなく、次のステップに一歩踏み出す勇気があればいいのです。