厚生労働省『不慮の事故死亡統計』(平成21年度)によると、家の中での事故死(13,240人)は、交通事故死(7,499人)よりも多いというデータが出ており、その内訳は、窒息・転倒・溺死などが多くを占めています。
身体能力が低下するお年寄りのみならず、危険を判断することができない乳幼児の家庭内事故は注意が必要です。自宅での不幸な事故をなくすために、自宅事故を防ぐためのポイントを場所別にご紹介します。
階段
階段は一般的に成人男性の体格を基準に作られているそうです。
ですので、子どもには急こう配だといえます。赤ちゃんの時は抱っこしている人が昇降に気をつける。少し大きくなって自分で昇り降りする場合は、手すりをつける、すべり止めをつける、などの工夫が必要です。
浴室
濡れたり、泡で滑ったり、床での転倒事故にも注意が必要です。
浴槽のお湯は大人にとっては何ということもない量ですが、子どもにとっては足のつかない深い場所となってしまいます。
浴槽に立てるくらいの大きさになるまでは、必ず大人が一緒にお風呂に入るようにしましょう。
また、赤ちゃんの沐浴の際、親が手を滑らせて赤ちゃんを落とすことのないよう注意してください。
キッチン
キッチンはコンロの火だけでなく、包丁や調理中の物の落下など危険がいっぱい!
子どもが小さいうちは、サークルや柵を準備して、キッチンには子どもを入れないようにしましょう。サークルにはチャイルドロック付きのサークルがありますので、そういったものを利用します。
赤ちゃんのうちは、親が抱っこして調理をしたり、お湯を使用したりしますが、抱っこやおんぶだと赤ちゃんと物との距離が測れずに、鍋の取っ手や食器棚にぶつかるという被害も出ます。
キッチンに入る時、赤ちゃんは別の場所に寝かせるようにしましょう。
バルコニー
バルコニーからの転落事故は、マンションの建設・居住が増えたことにより増加している事故です。
よくあるのが、バルコニーに段差があってそこを踏み台にして落下してしまう、バルコニーにあるテーブルやいすを使って踏み台にしてしまう。もっと悲しい事故では、室内にあったキャスター付きの椅子をバルコニーに持ち出し、踏み台にしてしまったというものもありました
危険なものはすべて取り除いたり、サッシが全開にならないストッパーなどを利用し、子どもがひとりで室内からバルコニーに出ないように心がけます。
また、親が「少しの間だから」「赤ちゃんが眠っているから」といって、ゴミ出しなどの外出をするのも避けたい事柄です。
ウォーターサーバーでのやけど
ミルクを作るのに便利ということで、赤ちゃんのいる家庭に近年普及しているウォーターサーバー。便利ではありますが、ウォーターサーバーによるやけどの事故は0歳から1歳が8割近くを占めるそうです(経済産業省調べ)。
対策としては、キッチンと同じように柵を使って、子どもや赤ちゃんが入れないようにする。必ずストッパー付きのサーバーにする。ストッパーや排出口のゆるみが無いかを点検する、などが挙げられます。
誤飲
はいはいをするようになって以降は、常に気をつけないといけない事故です。
錠剤や、ヘアピン、ボタン型の電池などが床や手の届くところに落ちていないか注意しましょう。
また、それよりももっと小さいクッションビーズや、ヘアアクセサリーの飾りなど、大人から見ると大したことにないように思えるものも、気付かないうちに口に入れている可能性があるので要注意です。
もし、誤飲をしてしまったらすみやかに病院で診察を受けてください。
抱っこひもやスリング
また、直接的に自宅事故に直結するものではないのですが、最近はやりの抱っこひもやスリングなどは、きちんとした使用方法をとらずに赤ちゃんが落下する、窒息するなど結果的に事故につながることが多発しています、注意が必要です。
ドアや窓の指はさみ、床のささくれ、コードへの足のひっかけ、アイロンによるやけど・・・挙げるときりがないほど、室内には危険がいっぱいです。
大人の不注意で、大切な子どもが不幸な目にあうことのないよう注意をし、防ぐことができるものは最初から防いでおくようにしましょう。